長時間運転したあと、指を開いたり手首を回したくなる
長めのドライブを終えて駐車場に車を停める。
エンジンを切って、ハンドルから手を離す。車を降りてから何となく指を開いたり、手首を回したりする。
「痛い」というほどではないけれど、手のひらにまだハンドルの感触が残っているような感じがする。指を曲げ伸ばしすると、少しすっきりする。手首より上の前腕まで重く感じる日もある。
運転中には気にならなかったのに、目的地に着いてから手が気になる。
長時間の運転では、座っている姿勢だけでなく、ハンドルを介して手にも振動などが伝わり、不快感に関係することが研究されています。

ハンドルは、ただ握っているだけではない
まっすぐな道を走っているときは、手をほとんど動かしていないように見えます。
けれど、実際の運転では少し違います。
車線に合わせてハンドルをわずかに動かす。
カーブでは回す。
曲がり終わったら戻す。
交差点では大きく持ち替える。
ハンドルを握りながら、手首や前腕の位置も細かく変わっています。
運転時の上肢の動きを調べた研究でも、ハンドル操作には肩や肘だけではなく、前腕の回転や手首の曲げ伸ばし、左右方向への動きが含まれることが確認されています。
そのため、運転後に感じるものが「握っていた指の疲れ」だけとは限りません。
手首の周辺だったり、前腕の手のひら側だったり、手の甲から続く側だったりすることも考えられます。
力いっぱい握っていなくても、前腕は使われている
普通に運転しているとき、ハンドルを全力で握ることはまずありません。
だから、「そんなに力を入れていないのに、どうして腕が重いんだろう」と感じることもあるでしょう。
ここで関係するのが、握ることと手首の位置を保つことです。
物を握りながら手首にも力を加える実験では、前腕にある複数の筋肉が同時に働くことが確認されています。特に手首を伸ばす側の筋肉は、握る動作が中心となる条件でも活動していました。
また、実際に1時間の運転課題中の筋活動を調べた研究でも、ハンドルを握る際に前腕の筋肉が活動していることが確認されています。
つまり、ハンドルを強く握りしめていなくても、手の位置を保ちながら細かな操作を続けている間、前腕は仕事をしています。
信号待ちより、車を降りてから分かることがある
運転中にも赤信号で停まる時間はあります。
ただ、そのときはすぐに発進するため、手はハンドルの近くにあります。完全に運転が終わった状態とは少し違います。
駐車して車から降りると、ようやく手の役割が変わります。
バッグを持とうとしたときに指が重く感じる。
ドアを閉めたあと、無意識に手を振る。
歩きながらグー、パーを繰り返したくなる。
そこで初めて「ずっとハンドルを持っていたからかな」と気づくことがあります。
特に高速道路のように大きなハンドル操作が少ない道では、「手をたくさん動かした」という感覚が残りにくいかもしれません。
大きく動かすことと、同じ位置を長く保つことでは、疲れの感じ方も同じではありません。
駐車したあとなら、手の形を変えてみる
運転を終えて安全な場所に駐車したあとなら、ハンドルから離した手を一度自然に開いてみます。
強く指を反らす必要はありません。
指を軽く広げて戻す。
親指を外側へ動かしてみる。
手首をゆっくり曲げたり戻したりする。
そのとき、指そのものより「手首を動かしたときに腕が気持ちいい」と感じることもあります。
前腕の向きを変えて、手のひらを上にしたり下にしたりしてみるのも一つです。
運転では前腕の回転も使われていますから、握る形から手を開くだけでなく、腕の向きを変えてみると違う感覚が出ることがあります。

帰宅してからも、ハンドルを握った感じが残っていたら
家に着いてしばらくしてから、手のひらや前腕を触ってみる。
手のひらは何ともないのに、手首の少し上を触ると気持ちいい。前腕を軽く包むように触れると、そこをもっとほぐしたくなる。
そんな日もあるかもしれません。
運転で使うのは、ハンドルに直接触れている部分だけではありません。
握る力と手首の姿勢は、前腕の筋活動にも関係します。さらに、ハンドルを回すときには肘や肩まで含めた上肢全体が使われます。
長く運転した日の夜、指を揉むよりも、手首から前腕にかけてゆっくり触れてもらうほうが気持ちよさそうに感じることもありそうです。
次に少し遠くまで車で出かけた日は、目的地に着いてハンドルから手を離した瞬間、手を一度開いてみる。
運転していた時間の長さを、意外な場所で感じるかもしれません。


