親指の付け根が痛い|物は持てるのに、洗濯ばさみをつまむと痛いのはなぜ?

洗濯物の入ったカゴは普通に持てる。

ところが、洗濯ばさみを親指と人差し指でつまんだ瞬間、親指の付け根が痛い。

「もっと重い洗濯カゴは持てるのに、どうして小さな洗濯ばさみで痛いんだろう?」

重い物が持てるなら、親指にはそれほど問題がないようにも思えます。

けれども、「持つ」と「つまむ」では、同じ手を使っていても指の使い方が違います。

洗濯カゴを持つときと、洗濯ばさみをつまむときは何が違う?

洗濯カゴを持ち上げるときは、親指だけで重さを支えているわけではありません。

カゴの縁や持ち手に複数の指をかけたり、手のひらも使ったりして持つことができます。

一方、一般的な洗濯ばさみを開くときはどうでしょう。

親指と人差し指などで洗濯ばさみを挟み、先端が開くところまで指で押します。

つまり、

「重い物を持つことができる」

ことと、

「親指と別の指で小さな物をつまめる」

ことは、同じ物差しでは比べられません。

親指の付け根に痛みがある場合、物をつまむ、瓶のふたを開けるなど、親指に力を必要とする動作で痛みが出ることがあります。日本整形外科学会も、こうした症状は母指CM関節症などでみられると説明しています。ただし、「洗濯ばさみで痛い」というだけで病名を判断することはできません。

「どれだけ重い物を持てるか」だけで親指の状態を判断しない

ここで一つ、見落としやすい違いがあります。

親指の付け根が痛いと、

「重い物を持たなければ大丈夫」

と考えがちです。

ところが実際には、重さだけではなく、どの指を使って、どんな形で力を加えるかも分けて考える必要があります。

たとえば、

マグカップを手全体で持つのは平気なのに、洗濯ばさみを親指と人差し指でつまむと痛い。

厚みのある物は持てるのに、硬貨のような薄い物を親指と人差し指で拾うと痛い。

袋そのものは持てるのに、袋の口を親指と人差し指でつまんで開こうとすると痛い。

このような違いがあれば、「何グラムの物なら持てるか」だけを見るより、持つ・握る・つまむのどれで親指の付け根が痛むのかを分けたほうが、生活の中で変えられる動作を見つけやすくなります。

洗濯ばさみを使わないわけにはいかない。ではどうする?

洗濯物を干すたびに親指の付け根が痛くても、

「しばらく洗濯をやめましょう」

では現実的ではありません。

そこで、「洗濯」という家事全体をやめるのではなく、親指と人差し指で何度もつまむ部分だけを変えてみます。

まず試しやすいのが、洗濯ばさみそのものを変えることです。

家に何種類かあるなら、同じタオルを留めるときに、一つずつ開いて比べてみてください。

大きく力を入れないと開かない物と、軽い力で開く物では、親指の使い方が変わります。

ピンチハンガーなら、全部を同じ洗濯ばさみにする必要もありません。頻繁に使う位置だけ、軽い力で開けられる物に替える方法もあります。

もう一つは、親指と人差し指だけで開こうとしないことです。

洗濯ばさみの大きさや形によっては、親指の腹と人差し指・中指側を使える場合があります。二本の指先だけで挟む場合と比べて、痛み方が変わるか確認してみてください。

ただし、痛みを我慢して別のつまみ方を続ける必要はありません。どの持ち方でも親指の付け根が強く痛む場合は、その方法は中止してください。

20枚干すなら、「20回のつまむ動作」として考えてみる

もう一つ見ておきたいのが回数です。

最初の1〜2個の洗濯ばさみは平気なのに、10個、20個と続けるうちに親指の付け根が痛くなることがあります。

その場合、

「洗濯ばさみを使えるか、使えないか」

だけでは十分に分かりません。

1個目から痛いのか。

10個ほど続けると痛くなるのか。

洗濯物を全部干し終えたあとに痛くなるのか。

ここまで分けると、次に変えるところも違ってきます。

たとえば10個前後から痛みが出るなら、20枚を一気に干すのではなく、途中でハンガーに掛ける作業や洗濯物を運ぶ作業を挟み、親指と人差し指で連続してつまむ回数を減らす方法があります。

これは「手をまったく使わない」のではありません。

痛みが出る動作だけを連続させないという変え方です。

洗濯以外にも同じ「つまむ」が隠れていないか

洗濯ばさみを変えても親指の付け根が痛い場合は、洗濯だけを見るのではなく、その日のほかの動作も確認してみます。

財布から硬貨を取る。

食品の袋の端をつまんで開ける。

ファスナーの小さな金具をつまむ。

書類を一枚ずつめくる。

こうした動作も、「軽い物だから手には楽」とは限りません。

ここでも見るのは物の重さだけではなく、親指とほかの指を向かい合わせてつまむ動作が何度続いているかです。

洗濯ばさみだけを避けるより、同じ日に何度も繰り返している「つまむ」をいくつか別の方法へ変えたほうが、生活そのものを大きく変えずに済む場合があります。

「持てるから大丈夫」ではなく、できる動作と痛む動作を分ける

親指の付け根が痛いとき、

「洗濯カゴは持てるから、まだ大丈夫」

とも、

「洗濯ばさみが痛いから、できるだけ手を使わない」

とも決める必要はありません。

洗濯カゴを持つ。

洗濯ばさみをつまむ。

薄い物を拾う。

ふたをひねる。

同じ親指を使っていても、動作はそれぞれ違います。

まず「親指が痛い」と一括りにせず、何をしたときに親指の付け根が痛むのかを分けます。

そのうえで、痛む動作についてだけ、道具・指の使い方・連続する回数を変えてみる。

そうすると、「手を休めるか、痛くても全部やるか」という二択ではなくなります。

なお、親指の付け根の痛みや腫れが続く場合には、母指CM関節症をはじめ医療機関での確認が必要な状態もあります。

特に、明らかな腫れや熱感がある、転倒やけがのあとから強く痛む、しびれや感覚の変化がある、急に力が入りにくくなったといった場合は、生活動作の工夫だけで済ませず、整形外科や手外科などへの相談を優先してください。

手指・肘の痛み・こわばり専門ケアでは、「親指が痛い」だけでまとめず、実際に何をしたとき、どこが、どのように痛むのかを確認しながら、普段の生活の中で変えられる使い方も一緒に考えています。

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